風呂敷の基礎知識

 

風呂敷は少し年配の人ならお馴染みのものかもしれませんが、若い人は殆ど使われているのを見たことがないかもしれません。風呂敷は物を包んだり持ち運んだり収納したりできるほぼ正方形の布のことで、その起源はあまり定かにはなっていませんが、古くは正倉院の所蔵物に舞楽の衣装包みとして用いられた風呂敷らしきものがあります。

 

この頃は衣包(ころもつつみ)や平包(ひらつつみ)と呼ばれていたようで、風呂敷と呼ばれるようになったのは室町時代の末期に、さる大名が風呂に入る時に平包を広げてその上で脱衣して服を包んだり、足拭きに使ったりしたとの説がありますが、これも確かとは言えないようです。

 

「風呂敷」という言葉自体としては、駿府徳川家形見分帳での記載があり、以後、江戸時代になって銭湯が普及するようになると、庶民にも次第に普及していったと考えられます。

 

風呂敷はシンプルな一枚の布なのですが、いろいろな形状にでき、ものをしっかり包むことができるので広く普及していきました。又、大きさもいろいろ作られ、刺子を施して強度を上げたものもあり、当時の寸法の大きい大風呂敷では布団を包めるようなものもありました。

 

風呂敷文化が減っていったのは西欧から鞄類が伝わった明治時代以降となります。ところが近年では環境問題が話題になる中で、レジ袋に代わるものとして風呂敷を利用しようという提案も出てきて、いわゆる見直しブームも感じられます。